蔵書一万冊

「一万三千冊(そのうち和本七千余冊)の蔵書を、いちいち運び出す時間はむろんないので、私は思い切って二階の窓から裏庭に投げ下した。(中略)テニスコートの中央に堆く積みあげられた蔵書の大きな山から、もうもうと煙があがり、下のほうからははげしい…

スーパーマンはユダヤ人?

いま、21世紀のわたしたちが「アメリカ的なもの」として消費しているものについて、たちどまって、それがどこからきたのかを考えてみれば、1880年代-1920年代に、ポグロムで土地を追われてアメリカに移民した東欧ユダヤ人たち、アシュケナージの…

神経生理学的読書

1935年に三笠書房の「ヴレーミヤ」に掲載された「初めてドストエフスキイを読んだ頃」という回想で萩原朔太郎は読書について「神経生理学的」に読むと語った。 ポオも、ニイチェも、ショーペンハウエルも、僕はすべて我流の仕方で、神經生理學的に讀むの…

色彩療法(Chromotherapy)と夏目漱石の『それから』

色彩療法(Chromotherapy)が夏目漱石の『それから』(1910)のテーマであると書いたら、驚かれるだろうか。しかし、何も驚くベきことはない(ニル・アドミラリ)。漱石がそう書いているのだから。 それから十一時過まで代助は読書していた。が不図ダヌン…

人形劇と大政翼賛会

大政翼賛会の文化宣伝部は人形劇を国威発揚の道具として用いていた。1943年の大政翼賛会宣伝部の刊行物には「人形劇叢書」というシリーズがあり、『人形劇のすすめ』『人形劇脚本集』、『指つかい人形劇』、『糸あやつり人形劇』といった書目がある。指…

新刊美術洋書の情報源

■1 Michael Shamansky書店の新着図書 Michael Shamansky, Bookseller Inc. ヨーロッパ圏の美術書、展覧会カタログを網羅的に週単位で紹介 ■2New Titles Releasing this Week from D.A.P. New Art, Photo, Architecture and Design Book Releases From ARTB…

西洋好事本展覧会図録(1937)

『西洋好事本展覧会目録』所収、木村毅「好事本展覧会序説」抜粋。 「好事書とは、俗な言葉で云えばゲテモノだ。このゲテモノは概して、智識的にも、経済的にも若干の余裕を生じて来ないと趣味が湧いて来ないらしい。原論の講義の筆記に夢中になっている大学…

伊藤若冲とトライポフォビア

トライポフォビア(Trypophobia)という用語がある。ギリシア語のTrypo(穴)と英語のPhobia(恐怖症)を合わせた造語で、集合物恐怖症を意味する。無数の穴が空いた蓮の実や、蜂の巣など、反復的な穴や、粒が集まった形状の図に対して不快感を持つ症状を指…

初期浮世絵展

千葉市美術館ではじまった初期浮世絵展覧会は、菱川師宣(?~1694)から鈴木春信(1725?~70)までを扱った展覧会である。浮世絵の展覧会と言えば、写楽、歌麿、北斎、広重といった絵師たちが人気で、その活躍は文化文政の18世紀半ばごろが中心になるの…

小林清親はナチュラリスト!

小林清親とターナー

小林清親はターナーを知っていたのではないか。光線画の着想源はターナーではなかったか。江戸の花火を描いたと思われている≪両国花火之図≫は意外にもターナーの≪レグルス≫に重なる。小林清親とターナー。二人の名前を結びつけて考えられてきた事があっただ…